

2025.11.16 採用
採用戦略の精度を高める!効果的なフレームワークと活用の流れ

労働人口の減少や働き方の多様化により、優秀な人材を採用する難易度は高まっています。厳しい状況のなかで採用を成功させるには、適切な採用戦略が不可欠です。
この記事では、採用戦略を構築するうえで欠かせないフレームワークや活用の仕方、採用戦略の成功事例などを詳しく解説します。
採用戦略やフレームワークってそもそも何?基礎知識を解説

最初に、採用戦略やフレームワークの基礎知識を解説します。
(1)採用戦略とは
採用戦略とは、企業の経営目標に基づき、自社が求める人物像や採用時期、採用規模などを計画的に定めるアプローチです。企業の将来的な成長を見据え、戦力となる人材を効率的に採用するための仕組みづくりをします。
採用戦略が重要視される背景には、慢性的な人手不足と採用市場の競争激化があります。求める人材を明確にし、コストやミスマッチによる早期離職リスクを最小化しながら、必要な人材を確保することが求められています。
(2)フレームワークとは
フレームワークとは、課題を分析し、解決策を導き出すために体系化された分析や思考の枠組みです。採用活動においては、採用課題の抽出や戦略立案の効率化や品質向上に活用できます。
フレームワークを活用するメリットは、採用活動を論理的・客観的に進められる点です。属人的な感覚に頼らず、統一された分析軸を用いることで、関係者間で共通認識を持ちやすくなり、一貫性のある採用活動を展開できます。
採用戦略に活かせるフレームワークとは?おすすめ5選

採用戦略の立案に効果的なフレームワークを5つご紹介します。
(1)ペルソナ分析
採用戦略の立案で最も重要なのは、求める人物像を明確化することです。その際に効果的なのが、ペルソナ分析です。
ペルソナ分析とは、理想のターゲット像を、あたかも実在するかのように詳細に設定する手法です。スキル・経験・価値観・キャリアの課題・学歴・プライベートまで、具体的に設定します。
ペルソナが明確になることで、求める人材が「どこで、何に魅力を感じるか」を具体的に想像でき、求人メッセージや採用チャネル、面接の進め方などさまざまな施策の精度を高められます。
(2)3C分析
3C分析は、採用市場における自社の立ち位置を把握するために、「Customer(求める人材)」「Competition(競合)」「Company(自社)」の3つの視点から分析する手法です。
求める人材が職場に何を求めているのかを分析したうえで、競合をリサーチし、自社の強み・弱みと照らし合わせることで、採用市場で取るべき差別化戦略を導き出します。
例えば、競合より給与水準が低い場合は、自社の「ワークライフバランスの良さ」といった強みを訴求するなど、勝ち筋を見つけるために役立ちます。
(3)SWOT分析
SWOT分析は、自社の現状を「Strength(強み)」「Weakness(弱み)」「Opportunity(機会)」「Threat(脅威)」の4つの面から、整理・評価するフレームワークです。
SWOT分析によって、自社の強みと他社と比べた時の弱みを俯瞰して把握できます。アピールすべき強みの見極めや、労働環境の改善など弱みの克服に活用しましょう。
(4)カスタマージャーニー
カスタマージャーニーとは、消費者が商品・サービスを購入するまでの行動を分析するためのフレームワークですが、採用戦略にも活用できる手法です。
求職者が企業を認知してから応募、選考、そして入社に至るまでの一連の行動、思考、感情のプロセスを時系列で可視化できます。
求職者視点に立ち、選考プロセスの課題を見つけ改善することで、求職者の体験の質が向上し、応募率や内定承諾率を高められるでしょう。
(5)TMP方式
TMP方式は、採用戦略を「Target(ターゲット)」「Message(メッセージ)」「Promotion(プロモーション)」の3つの要素に分けて、採用戦略を設計するフレームワークです。
・Target:求める人材
・Message:ターゲットに響くよう、企業の強みや働くメリットを伝えるメッセージ
・Promotion:メッセージをターゲットに効果的に届けるための媒体やチャネル
この3要素を意識して採用戦略を構築することで、誰に・何を・どこで・どのように・伝えるかが明確になり、採用活動の効率と成果を最大化できます。
フレームワークを活用した採用戦略の立て方をステップごとに解説

フレームワークによる分析結果をもとに、どのように採用戦略を構築するかを解説します。
(1)採用戦略専門チームをつくる
効率的に採用戦略を進めるには、専任のチームを置くことが重要です。専任チームの設置により、採用活動を計画的に管理できます。
多様な視点から採用活動を行うために、人事や現場マネージャー、経営層など幅広いメンバーを集めることが重要です。
メンバー間で情報共有することで、スピーディーに採用活動に取り組めます。
(2)現状を分析する
SWOT分析や3C分析を用いて、自社の採用の現状を客観的に分析します。
採用が上手くいかない根本的な理由や、どのステップで離脱が多いのかといった具体的な課題を明確にすることで、戦略の方向性が定まります。
(3)採用基準を決める
現状分析の結果を踏まえ、求める人材像をペルソナ分析で具体化します。スキル、経験といった要件だけでなく、企業文化や価値観との適合性も考慮に入れ、入社後のミスマッチを防ぎます。
ペルソナが明確になったら、それを基に採用基準を設定します。客観的な評価項目を決め、面接官が共通認識を持つことで、評価のバラつきを防ぎましょう。
(4)採用方法を決める
ペルソナと採用基準に基づき、TMP方式を活用してターゲットに訴求するメッセージを作成します。
次に、そのメッセージを伝えるための採用チャネルを選定します。ターゲット層に合わせた求人サイトや転職エージェントを活用することで、無駄なコストをおさえ、効率的に母集団を形成できるでしょう。
(5)具体的な選考プロセスとスケジュールの策定
応募受付から内定、入社までの具体的な選考プロセスとスケジュールを策定します。プロセスごとの流れや期限を明確に定めることで、選考をスムーズに進められるでしょう。
また、内定者フォローや入社準備についてもあらかじめ計画し、内定辞退を防ぐことも大切です。
実際の事例から学ぶ!採用戦略の成功事例3選

より効果的な採用戦略を構築するには、他社の事例を参考にするのがおすすめです。
(1)大手ファストフードチェーン
学生・主婦・中高年など多様なターゲット層を設定し、「働く時間や日数を自由に選べる柔軟なシフト制度」を訴求しました。
またオンライン面接や応募フォームの改善などにより、採用プロセスをスムーズにすることで、応募者の離脱を防止しています。
こうした取り組みの結果、「働きやすい職場」というイメージができ、従来の採用では難しかった幅広い層の確保に成功しました。
(2)IT企業
他にはない独自のカルチャーを強みとし、社会的な意義を持つミッションをメッセージの中心に据えました。また、ワークショップや体験型イベントを開催し、応募者が自社の雰囲気や仕事の進め方を体験できる機会をつくり、ミスマッチを防いでいます。
その結果、企業のビジョンに深く共感する、意欲の高いエンジニアが集まり、定着率が向上しました。
(3)建設業
仕事がきつい・危険・給料が安いといった業界のネガティブイメージに対し、福利厚生などの働きやすさと体系的なキャリアアップ支援を強調することで、印象を刷新しました。
また、未経験者向け研修や女性の活躍支援、安全対策をアピールし、地元に根差した採用で、ニーズの高い若手人材の獲得に成功しました。
まとめ

採用戦略を成功させるためには、ペルソナ分析、3C分析、SWOT分析などのフレームワークを活用し、客観的に課題を分析することが重要です。
分析結果に基づき、戦略チームの編成・現状分析・採用基準の設定・採用方法の選定・具体的なスケジュールの策定を行うことで、必要な人材を効率的に獲得できます。