

2025.12.18 採用
内定承諾率の平均って?低い理由や対策についても解説

内定承諾率とは、企業が出した内定のうち、求職者が承諾した割合を示す指標です。内定承諾率が低いと、採用コストの増加や人材獲得の遅れにつながるため、採用活動の効果を測る重要な指標となります。
特に自社の業界の平均よりも低い場合は、優秀な人材を他社に取られている可能性が高く、早急な対策が必要です。
この記事では、内定承諾率の業界別平均データや、内定辞退が発生する主な原因を解説。さらに、承諾率を改善するための具体的な対策を紹介します。
内定承諾率はどれくらい?業界別の平均も紹介

最初に、株式会社マイナビが発表した「マイナビ 中途採用状況調査2025年版(2024年実績)」より、中途採用の内定承諾率の平均を紹介します。
2024年の中途採用全体の内定承諾率は90.7%で、前年度とほぼ横ばいでした。
業界別の内定承諾率は、以下の通りです。
<業界別内定承諾率>
| 業種 | 内定承諾率 |
|---|---|
| IT・通信・インターネット | 92.5% |
| メーカー | 93.7% |
| 商社 | 96.4% |
| サービス・レジャー | 81.5% |
| 医療・福祉・介護 | 92.9% |
| 流通・小売・フードサービス | 82.9% |
| マスコミ・広告・デザイン | 不明 |
| 金融・保険・コンサルティング | 92.8% |
| 不動産・建設・設備・住宅関連 | 93.5% |
| 運輸・交通・物流・倉庫 | 95.5% |
| 環境・エネルギー | 99.4% |
| 公的機関 | 87.9% |
環境・エネルギー業界は、99.4%と非常に高い内定承諾率を示しています。
一方で、サービス・レジャー(81.5%)と流通・小売・フードサービス(82.9%)は、内定承諾率が80%台前半と、他の業界と比べてやや突出して低いことがわかります。
これらの業界では、人材獲得競争が特に激しく、内定承諾を得るための工夫が重要です。
ただし、会社の規模や地域など他の要素も、内定承諾率に影響を及ぼします。さらに、調査対象の会社数が少ない場合、実態とのぶれが大きくなる点にも留意しましょう。
内定辞退はなぜ発生?主な原因と背景を解説

内定承諾率が平均よりも低い場合、どのような原因・背景があるのでしょうか?代表的なものを紹介します。
(1)より魅力的な競合企業から内定をもらった
求職者の多くは、複数の企業に同時に応募しています。そのため、複数の内定を比較検討し、最終的により魅力的だと感じた企業に入社します。
年収・福利厚生・休日数・ネームバリュー・成長性・社風などで他社より見劣りする場合、内定辞退のリスクは高いといえるでしょう。
サービス・レジャー業界や流通・小売・フードサービス業界で内定承諾率が低い背景には、他業界と比べて条件面や労働環境の面で不利になりやすい面があると考えられます。
(2)働くイメージが描けず不安を感じる
求職者が自社で働く明確なイメージを持てなかった場合も、内定辞退につながります。
面接での求職者からの質問に対する回答が曖昧だったり、採用担当者とのコミュニケーションが不十分だったりすると、企業への信頼感が低下し、より明確なビジョンを描ける他社を選ぶ傾向があります。
(3)待遇や条件面で期待値とギャップを感じた
給与や福利厚生、勤務時間などの待遇面が候補者の期待に届かない場合、内定辞退につながります。
特に中途採用では、求職者が現職や前職での待遇と比較します。待遇が下がる場合や明確な改善が見込めない場合は、転職の決断を見送ることが多いでしょう。
また、提示された条件が求人票や面接時の説明と異なっていた場合は、企業への不信感が生まれ、辞退につながります。
(4)企業文化や職場環境が合わない
面接や会社見学を通じて感じた企業文化や職場の雰囲気が、求職者の価値観と合わないと判断されることも、内定辞退の大きな要因のひとつです。
ワークライフバランスを重視する候補者に長時間労働が常態化していると感じさせてしまったり、チームワークを大切にする人に個人主義的な社風だと印象づけてしまったりすると、求職者は「入社後に馴染めないのではないか」と不安を抱きます。
(5)内定までのスピードが遅い・早い
選考プロセスが長引きすぎると、候補者のモチベーションが低下したり、他社で先に内定が出たりする可能性が高まります。
逆に、急ぎすぎて候補者が十分に検討する時間を持てない場合も、不安から辞退につながることがあります。選考から内定承諾までのタイミングの設計が適切でないと、優秀な人材を逃してしまうかもしれません。
(6)面接官や採用担当者の印象が悪い
求職者は面接官や採用担当者とのやり取りを通して、社風・雰囲気を把握します。そのため、下記のような言動をすると、内定辞退につながります。
・威圧的な雰囲気で面接をする
・不適切な質問をする
・連絡ミスなど雑な対応をする
優秀な人材を確保!内定承諾率を改善するための対策5選

内定承諾率が平均よりも低い場合、内定辞退の原因を踏まえ、以下のような対策をしましょう。
(1)選考プロセスの最適化
選考プロセスを見直し、無駄な工程を省くことで、応募者の待ち時間を減らし、他社に先を越されるリスクを軽減できます。
書類選考の結果通知を早める、面接の日程調整をスピーディーに行うといった改善をすることで、応募者に誠実な印象を与えられます。
ただし、スピードだけを重視するのではなく、応募者が自社を理解し検討するための時間も確保することが大切です。選考の各段階で次のステップの予定を明確に伝えるように心がけましょう。
(2)魅力的な待遇の提示
転職市場の相場を踏まえ、魅力的な待遇を提示することで、内定承諾率は向上します。業界・職種ごとの給与水準を定期的にリサーチし、自社の待遇が適切かどうかを確認しましょう。
給与だけでなく、リモートワークの可否や勤務時間の柔軟性、スキルアップのための研修制度なども、重要なアピールポイントになります。
応募者との条件交渉では、相手の希望を丁寧に聞き取り、可能な範囲で調整する姿勢を示すことが重要です。
(3)企業の魅力を効果的に伝えるコミュニケーション
選考の各段階で、企業のビジョンや事業内容、職場の雰囲気などを丁寧に伝えることが大切です。応募者が自社で働く意義や、どのようなキャリアを築けるのかを具体的にイメージできるように説明しましょう。
実際の業務内容を詳しく紹介したり、配属予定の部署のメンバーと面談する機会を設けたりすることで、応募者の理解が深まります。
また、面接官や採用担当者は会社の顔となるため、好印象を与えられるよう、面接の進め方ややり取りの仕方を見直すと効果的です。
(4)求職者の不安を解消するフォロー
内定を出した後も、候補者との継続的なコミュニケーションを心がけましょう。内定後から入社までの期間は、候補者が最も不安を感じやすい時期です。定期的に連絡を取り、質問や相談に適切に対応することで、候補者の不安を軽減できます。
入社までの流れを詳しく説明したり、必要な準備について案内したりするのもよいでしょう。可能であれば職場見学や既存社員との懇親会などの機会を設けることで、入社後の働き方をよりリアルにイメージできるようになります。
(5)内定者の意思決定をサポートする情報提供
候補者が適切な判断を下せるよう、必要な情報を包み隠さず提供することも重要です。業務の大変な面や課題についても正直に伝えることで、入社後のギャップを防ぎ、長期的な定着につながります。
キャリアパスや評価制度、研修体系などについて具体的に説明し、入社後にどのような成長が期待できるかを示しましょう。
まとめ

中途採用における内定承諾率の全体平均は90.7%ですが、業界によって大きな差があります。環境・エネルギー業界は99.4%と高い一方、サービス・レジャーや流通・小売業界は80%台前半と低めです。
内定辞退の主な原因として、他社との比較、待遇面のギャップ、企業文化のミスマッチなどが挙げられます。
内定承諾率を高めるには、選考プロセスの最適化、魅力的な待遇の提示、企業の魅力を効果的に伝えるコミュニケーションが重要です。また、内定後のフォローを行い、求職者の不安を解消することで、入社への意志を固めてもらえます。
業界平均や自社の内定承諾率を定期的に確認し、改善を重ねることで、優秀な人材の獲得につなげましょう。