2025.12.19 採用

採用活動のリスクを軽減!人材紹介会社の返金規定を徹底解説

人材紹介会社を利用して採用したにもかかわらず、早期退職されてしまうというリスクもゼロではありません。その場合、紹介手数料を支払ったのにもかかわらず、採用活動を再開する必要があり、費用負担が大きくなります。

返金規定は、採用後のミスマッチや早期離職が発生した場合、紹介手数料の一部または全部の返金を受けられるルールです。規定について知っておくことで、予期せぬリスクに対する不安を払拭し、より計画的に採用戦略を進められます。

この記事では、人材紹介における返金規定の仕組み、規定がある場合とない場合のメリット・デメリット、そして返金を求める際の手続きについて、解説します。

人材紹介における返金規定って?適用条件についても解説

最初に返金規定の概要や提供条件、金額の相場を紹介します。

(1)返金規定とは

人材紹介サービスは、基本的に成功報酬型で成り立っています。求職者の入社が決定したタイミングで、企業から紹介手数料を支払われるのが一般的です。

しかし、せっかく採用した人材がすぐに辞めてしまった場合、企業としては支払った手数料が無駄になってしまいます。返金規定は、この返金制度が適用される条件を定めたルールです。なお、人材紹介会社は、この規定などの情報を企業に提供する義務があると定められています。

ちなみに、早期退職した場合の紹介手数料の補償方法には、「フリーリプレイスメント」という制度もあります。

代わりの人材を新たに紹介してもらえる制度で、すみやかに人材確保をしたい場合に効果的です。

返金制度とフリーリプレイスメントどちらも、会社によっては導入していません。また、内容も各社で異なります。万が一の場合に備え、契約前に補償制度を確認しておきましょう。

(2)返金規定の具体的な内容

返金規定が適用されるのは、主に入社後一定期間内に、企業側と採用された求職者の間で雇用契約が解除された場合です。具体的な期間は、人材紹介会社や契約内容によって異なりますが、入社日から3ヶ月または6ヶ月と設定されているのが一般的です。

契約解除の理由も重要です。多くの規定では、求職者の自己都合退職や、経歴詐称など重大な違反などに伴う企業側の正当な理由による解雇が対象となります。
一方、業績悪化に伴うリストラなど企業側の都合による解雇は、返金対象外となるケースが多い傾向にあります。

(3)返金額の相場

返金規定では、在籍期間に応じて返金される手数料の割合が定められています。在籍期間が短いほど返金割合が高く、期間が長くなるにつれて段階的に返金割合が減少していくスライド式が一般的です。

例えば、「入社後1ヶ月未満の退職であれば紹介手数料の80%を返金」「1ヶ月以上3ヶ月未満であれば50%を返金」といったイメージです。

人材紹介会社選びの参考に!返金規定の有無によるメリットとデメリット

人材紹介会社を選ぶ際、返金規定の有無は重要な判断材料のひとつです。返金規定がある場合とない場合、それぞれのメリット・デメリットを紹介します。

(1)返金規定がある場合

返金規定がある最大のメリットは、早期離職に伴う金銭的リスクを大幅に軽減できる点です。万が一のミスマッチや予期せぬ退職があった場合でも、手数料の一部が戻ってくるため、採用コストの損失を最小限に抑えられます。

特に、急成長中の企業や、初めて人材紹介を利用する企業など、早期退職リスクへの懸念が大きい場合、大きな安心材料となります。

また、人材紹介会社側も返金リスクを負うため、より質の高いマッチングを心がける傾向があり、結果として質の高いサービスを受けられる可能性が高まるかもしれません。

デメリットとしては、紹介手数料が割高になりやすい点があげられます。返金規定を設けることで、人材紹介会社側は金銭的リスクを負うことになります。そのため、規定がない場合と比較して、紹介手数料がやや割高に設定されている可能性があります。

また、手厚い規定があることで、その紹介会社の手数料が相場より高めに設定されている場合、結果的に採用コストが大きくなってしまうかもしれません。

さらに、規定があることで「もし辞めても返金されるから」と、早期退職リスクに対する危機感が薄れることで、採用の精度が低くなる可能性もあります。

(2)返金規定がない場合

返金規定がない人材紹介会社は、返金リスクを考慮する必要がない分、紹介手数料を低く設定していることがあります。コストパフォーマンスを重視する企業や、独自の定着支援策が充実しており早期離職のリスクが低い企業にとっては、費用対効果の高い選択肢となるでしょう。

さらに、手数料の損失を避けるために、ミスマッチを防ぐ意識が強くなり、選考プロセスや入社後のフォロー体制を見直すきっかけにもなります。採用活動の質が高まった結果、優秀な人材が定着しやすくなるなどの効果が期待できます。

最大のデメリットは、早期退職した場合、手数料が一切戻ってこないという点です。特に、採用単価が高い専門職や管理職の採用において早期離職が起きると、多額の手数料が無駄になります。さらに、再度採用活動を行うための追加コストや、ポジションが空くことによる事業への影響など、二次的な損失も大きくなるでしょう。

このように、返金規定がある場合・ない場合どちらもメリット・デメリットがあります。自社の採用方針やリスクの許容範囲と、マッチした人材紹介会社を選ぶことが大切です。

スムーズに手数料の返金を受けるために!手続きの流れを紹介

万が一の場合、スムーズに手数料の返金を受け取るためには、手続きの流れを把握しておくことが大切です。

返金請求は、一般的に以下の手順で進められます。

【1】退職・契約解除の確定

社員の退職日(または雇用契約解除日)が確定した時点で、返金規定を確認し、適用されるかを確認します。同じ人材会社を利用して入社した社員であっても、契約ごとに規定が異なる場合もあるので注意が必要です。

【2】人材紹介会社への連絡

退職の事実と返金規定を適用したい旨を、書面やメールなど契約に基づいた方法でなるべく早く人材紹介会社に通知します。通知期限が設けられている場合、過ぎてしまうと、規定が適用されなくなるリスクがあります。

【3】必要書類の提出

退職証明書や退職届のコピーなど、退職の事実と理由を証明するための書類の提出を求められる場合があります。また、退職理由が自己都合や企業側が責任を負わない事由であることが返金規定の要件であることが多いので、退職の経緯や理由を証明できる記録を客観的に残しておきましょう。

【4】返金額の確認と合意

人材紹介会社が返金規定に基づき返金額を算出し、企業に提示します。企業はこの内容を確認したうえで、合意します。

【5】返金手続きの実行

合意後、人材紹介会社から企業へ指定の方法で返金が行われます。ただし、人材紹介会社によって手続きの流れは異なるので、あらかじめ確認しておくとスムーズです。

まとめ

返金規定は、早期退職による金銭的リスクを軽減できる重要な制度です。規定がある場合は手数料の一部が返金される安心感がある一方、手数料が割高になる可能性があります。

規定がない場合は手数料が低めですが、早期退職時の損失が大きくなります。

返金規定がある場合とない場合、それぞれのメリット・デメリットを把握し、自社の採用方針やリスク許容度に合ったサービスを選びましょう。

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