2025.07.22 転職エージェント

人材紹介と人材派遣の違いとは?目的別の使い分けと活用方法を解説

人材不足を解消する手段として、多くの企業が「人材紹介」や「人材派遣」を活用しています。

しかし利用を検討するにあたり、「違いがよくわからない」「どっちが自社にマッチしているか判断できない」といった課題を感じている方も多いのではないでしょうか。

どちらも人材を求める企業と求職者を結ぶ重要な役割を担っていますが、そのシステムや特徴は大きく異なります。

この記事では、人材紹介と人材派遣の違いやおすすめの活用シーンなどを解説します。人材不足に悩む担当者の方は、ぜひ参考にしてください。

人材紹介と人材派遣の仕組みの違いをわかりやすく解説

人材紹介と人材派遣は、根本的に仕組みが異なります。それぞれの仕組みについて紹介します。

(1)人材紹介の仕組み

人材紹介は、厚生労働大臣の認可を受けた有料職業紹介事業者が、企業の求人要件にマッチする求職者を紹介するサービスです。最終的に企業と求職者が直接雇用契約を結ぶことを目的としており、人材紹介会社は仲介役としての役割を担います。

人材紹介は大きく、以下の3タイプに分かれます。

・一般紹介型

最も普及しているタイプで、人材紹介会社が保有する求職者のデータベースから、企業にマッチした人材を選んで紹介します。

・サーチ型

主に役員候補をはじめとするエグゼクティブ層や専門性の高いポジションの採用に用いられる手法で、「エグゼクティブサーチ」や「ヘッドハンティング」と呼ばれることもあります。人材紹介会社が独自のネットワークを活用し、幅広く候補者を探すことで、希少な人材を獲得できます。

・アウトプレースメント型(再就職支援型)

人員整理を進める企業からの依頼を受け、解雇する従業員の再就職をサポートします。人材紹介はもちろん、従業員の教育研修なども行います。

(2)人材派遣の仕組み

人材派遣会社が自社と雇用契約を結んでいる派遣スタッフを、必要な期間だけ企業に派遣するサービスです。
派遣スタッフの雇用主は派遣会社であり、派遣先企業は派遣会社と労働者派遣契約を結んで派遣スタッフを受け入れます。派遣スタッフは派遣先企業の指示のもと業務を進めます。

この仕組みにより、企業は必要な時期に必要なスキルを持った人材を活用できます。ただし、労働者派遣法により派遣社員が従事できる業務の種類が定められており、それ以外の業務を依頼することはできません。

仕組みは異なりますが、どちらも「企業と人材をつなぐ」点は共通しています。しかし、人材紹介は「採用支援」、人材派遣は「人材活用支援」と、提供する価値に違いがあります。企業が求める人材確保の目的によって、どちらのサービスを選択すべきかが決まってくるのです。

人材紹介と人材派遣を徹底比較!5つの違いを紹介

人材紹介と人材派遣の主な違いについて解説します。

(1)サービス内容

人材紹介では、人材採用全般をサポートします。コンサルタントが企業から募集背景や求める人材の要件についてヒアリングし、マッチング精度を高めるために継続的なコミュニケーションを図り、条件に合った人材を選定します。

人材の選定以外にも、求人票の作成・面接などのスケジュール調整・選考結果の連絡・給与などの条件面の交渉といった採用関連の業務も代行します。

人材派遣の場合は、企業が求める業務内容とスキル要件に基づいて適切な派遣スタッフを選定し、就業開始から終了まで継続的に管理します。

派遣スタッフの勤怠管理・給与計算・社会保険の手続き・労務相談などを派遣会社が担当するため、企業の管理負担が軽減されます。

(2)契約形態

人材紹介では、雇用契約を結ぶのは企業と求職者です。入社後は、企業の就業規則や労働条件が適用されます。

人材派遣の場合は、人材派遣会社と派遣スタッフの間で雇用契約を結び、人材派遣会社の就業規則や労働条件が適用されます。

派遣先企業は人材派遣会社と労働者派遣契約を締結することで、派遣スタッフの受け入れ・業務指示ができるようになります。ただし派遣先企業は原則的に、労働者派遣契約で定められた業務以外は依頼できません。

(3)費用

人材紹介の費用は、成功報酬型が一般的です。採用が決定した時点で、採用者の想定年収の25〜35%程度の紹介手数料が発生します。一定期間内に採用者が退職した場合は、一部返金される場合もあります。初期費用がかからないため、採用リスクを最小限に抑えられる点がメリットです。

人材派遣の費用は時間単価制で、実際に派遣スタッフが働いた時間に応じて派遣料金を支払います。時間単価は、派遣スタッフのスキルレベル・業務の専門性・地域などによって決まり、月額換算での予算管理がしやすいという特徴があります。

(4)選考

人材紹介は自社採用のため、通常の採用活動と同じように、書類や面接、適性検査などによる選考ができます。面接回数の制限などもないため、自社とマッチする人材かしっかり見極められます。

人材派遣の場合は、法律により派遣先企業による選考はできません。ただし、人材派遣会社による派遣社員の選定はできるので、担当者にどんな人材を求めるかを明確に伝えることが大切です。

(5)契約期間

人材紹介は、長期の直接雇用が前提です。正社員として雇用するケースが多いですが、契約社員として雇用するケースもあります。

登録型派遣では、派遣スタッフの受け入れ期間に制限が設けられています。派遣スタッフが同じ事業所の同じ部署で働ける期間は、原則3年までです。3年を超えて就労を希望する場合は、直接雇用への切り替え・他の事業所への異動が必要です。

人材紹介と人材派遣どっちがいいの?おすすめの活用シーン

ご紹介した人材紹介と人材派遣の違いを踏まえ、シーン別にどちらがおすすめか解説します。

(1)長く働ける人材を採用したい

長期雇用を視野に入れている場合は、人材紹介が適しています。直接雇用のため、就業期間の制限がないからです。

逆に繁忙期の欠員補充など、一時的に人手が必要な場合は、契約期間が限定されている人材派遣の方が向いています。必要なタイミングで派遣スタッフを活用すれば、人件費をおさえつつ自社社員の負担を軽減できます。

(2)大量採用したい

拠点の立ち上げなどで大量採用する場合は、人材派遣がよいでしょう。人材紹介会社より多くの求職者が登録しているため、短期間で大量採用するのに向いています。

ただし、長期的な雇用を前提とする場合は大量に採用する場合であっても、人材紹介の方が効果的です。

(3)ハイクラス人材を採用したい

ハイクラス人材・マネジメント層を採用したい場合は、人材紹介を利用するとスムーズです。

これらの人材は転職市場でも人数が少なく、採用難易度が高いためです。また中長期的な視点で業務に取り組むポジションなので、契約期間に定めのない直接雇用の方が適しています。

(4)専門スキルを持つ人材を活用したい

派遣スタッフには専門性の高いスキルを持つ人材が多いので、上手く活用することで、自社社員の負担を軽減し、コア業務に集中できる環境を整えられます。

例えば、経理スキルを持つ派遣スタッフに、伝票の仕分けや入出金管理などを任せ、自社の経理職は業績管理・予算管理・決算業務に注力する、といったイメージです。

まとめ

人材紹介と人材派遣の違いのうち特に重要なのは、雇用契約と目的です。人材紹介は企業が求職者と直接雇用契約を結ぶ「採用支援」サービスであり、長期雇用や正社員採用、ハイクラス人材の獲得に適しています。

一方、人材派遣は派遣会社と派遣スタッフが雇用契約を結ぶ「人材活用支援」サービスで、一時的な人手不足の解消や大量採用、専門スキルを持つ人材の活用に効果的です。

費用面では、人材紹介は成功報酬型で採用リスクを抑えられ、人材派遣は時間単価制で予算管理がしやすいという特徴があります。

自社の採用目的や雇用期間、求める人材のレベルを明確にして、それぞれのメリットを活かたうえで利用することが、人材不足解消のカギです。

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