中小企業にとって中途採用は、即戦力となる人材を確保し、事業成長を加速させる有効な手段です。

しかし中小企業の採用活動は、大手企業よりも難易度が高い傾向にあります。そこで重要なのが、メリット・デメリットを知り適切な戦略を立てることです。

この記事では、中小企業の中途採用におけるメリット・デメリットと採用成功のための戦略を紹介します。中途採用に悩んでいる担当者の方は、ぜひ参考にしてください。

即戦力を獲得できる！中小企業が中途採用をするメリット

中小企業が中途採用に取り組む主なメリットは、以下の通りです。

（1）即戦力を獲得できる

中途採用の最大のメリットは、即戦力となる経験豊富な人材を獲得できることです。新卒採用では、入社後の研修期間が必要であり、戦力として活躍できるまでに時間とコストがかかります。

しかし中途採用であれば、前職での経験やスキルを活かして短期間で成果を上げることが期待できます。

中小企業は、限られた人員でさまざまな業務を担当するため、幅広いスキルと経験を持つ中途採用者は、非常に頼もしい存在です。

（2）外部の知見を得られる

中途採用をすることで、外部の知見と新しい視点を取り入れられます。新しい人材が、他社での経験を通じて培った業務改善のアイデアや新しい手法を導入することで、既存の業務プロセスを効率化し、競争力を向上させられます。

特に同業他社での経験を持つ人材であれば、業界におけるより効果的な手法や最新トレンドを自社に取り入れる貴重な機会となります。

（3）専門性の高い人材を得られる

IT分野やマーケティング、財務など、特定の専門知識・スキルが必要な職種においては、新卒よりも、経験者を採用する方が効率的です。

新卒入社の社員がこれらの専門知識・スキルを身につけるには、長い時間と高額な教育コストがかかります。

（4）必要なタイミングで人材を補充できる

新卒採用は年間スケジュールが決まっており、採用から入社まで長い期間を要します。一方、中途採用は必要なタイミングで実施でき、比較的短期間で人材を確保することができます。

事業拡大や欠員補充など緊急性の高い採用ニーズに対応できる柔軟性は、中小企業にとって大きなメリットです。

知名度の低さで不利に？中小企業が中途採用をするデメリット

中小企業が中途採用をするメリットは多いものの、気をつけるべきデメリットや課題もあります。事前に理解し、対策することでより効果的な採用活動ができます。

（1）知名度が低いので採用活動が不利になりやすい

求職者の多くは安定性や将来性を重視し、知名度の高い大企業を転職先として選ぶ傾向があります。また知名度が低いと、そもそも求職者の目に留まらないケースも少なくありません。

特に高い専門性を持っている人材やマネジメント層など市場価値の高い人材は、大企業からも引き合いが多く、採用に苦労する可能性が高いでしょう。

中小企業が希望の人材を獲得するには、自社の魅力を効果的に伝える工夫をするなど、採用活動における戦略的なアプローチが求められます。

（2）給与レンジが高くなりやすい

スキル・経験を持つ人材はそれに見合った待遇を求めるため、中途採用の場合は給与レンジが高くなりがちです。人件費に制限がある中小企業の場合、高い水準の給与を払うのは厳しいケースもあるでしょう。

また、中途採用市場の動向によっては、既存社員よりも厚待遇で募集しないと人が集まらないケースもあります。不公平感が生じないよう、既存社員とのバランスを取るのは容易ではありません。

（3）採用コストがかかりすぎる

大企業と比較して採用予算が限られている中小企業では、効果的な求人媒体の選択や採用手法の工夫が重要となります。

限られた予算で最大の効果を得るには、自社のターゲットである人材が利用する媒体を見極め、適切に訴求する必要があります。

（4）リソースが足りない

中小企業では、採用業務を専任で担当する人材が不足しており、他業務と兼任している場合が多いのが現状です。

その結果、応募者への対応が遅れたり、面接の質が低下したりするリスクがあります。売り手市場の現在では、本来採用できていたはずの人材を逃しているかもしれません。

（5）会社のカルチャーに適応できない

中途採用者は、自社と異なるカルチャーで働いてきたため、価値観や業務スタイルに適応するまで時間がかかるケースがあります。

中小企業は組織の規模が小さい分、経営陣と社員の距離や社員同士の距離が近く、特徴的なカルチャーになりやすい傾向にあります。そのため、外部から入社した人にとっては、なじみにくいかもしれません。

中途採用者は転職経験があるため、再度転職する可能性が高く、早期離職のリスクも懸念点です。

内定から入社までのコミュニケーションや入社後のフォローアップやキャリア開発支援などを通じて、中途採用者が自社に適応し定着するよう働きかける必要があります。

中小企業が中途採用に成功するために！効果的な戦略とは

中小企業の中途採用における課題やメリットへの対処法を紹介します。

（1）自社の魅力を具体的にアピールする

事業内容・キャリアパス・カルチャーなど自社の魅力を具体的にアピールすることで、求職者の関心を引くことができます。

例えば、大手企業にはない中小企業ならではの魅力として、幅広い業務経験を積める機会がある点があげられます。

大企業では専門性を深める一方で業務範囲が限定される傾向がありますが、中小企業では営業から企画、マネジメントまで多様な役割を担当できます。そうした経験は、経営層や独立起業といったキャリアパスを望む人にとって、非常に魅力的です。

既存の社員が幅広い業務を経験しステップアップしている様子を発信するなどの施策を行い、積極的にアピールしましょう。

（2）自社のアピールポイントを洗い出す

アピールすべきポイントが分からない場合は、自社の魅力や強みを把握することから始めましょう。

自社の実績や社員にヒアリングした結果を競合他社と比較し、転職市場での魅力や強みを洗い出します。求職者に自社で働くメリットを的確にアピールすることで、応募者増につながります。

（3）必要な人材を明確化する

中小企業の場合、大手企業よりも応募者が少なく、優秀な人材を獲得できないケースが少なくありません。

そうした場合は、優秀な人材にこだわらずに「自社にとって必要な人材」を採用する方向にシフトしましょう。一般的には優秀ではなくても、自社にマッチする人材が見つかる可能性もあります。

今必要なポジションに、どんなスキル・経験・人柄の人材がマッチするか考え、具体的な条件を決めておくことで、本当に必要な人材を見つけやすくなります。

（4）採用手法を見直す

採用手法や求人の掲載媒体によって、応募者の集まりは変わってきます。合わない採用手法や掲載媒体を使用していると、コストやリソースを多く使っても、人材が獲得できないといったリスクもあるので注意しましょう。

例えば、業界や職種に特化した転職サイトは、一般的な転職サイトよりも、希望するスキル・経験を持った求職者が集まりやすい傾向にあります。

また、社員紹介制度（リファラル採用）の導入も非常に効果的です。既存社員のネットワークを活用することで、企業文化にマッチした人材を効率的に見つけられます。

求める人材や自社の立ち位置を考えたうえで、最適な採用手法を選ぶことが採用成功の近道です。

（5）転職エージェントを活用する

採用活動のリソースが足りない、中途採用のノウハウがないといった場合は、転職エージェントを利用するのも方法のひとつです。

人材の選定・スケジュール調整・合否の連絡・条件交渉などを代行してもらえるため、採用業務を大幅に軽減できます。

さらに採用のプロから自社のアピール方法や人材の見極め方などについてアドバイスをもらうことで、採用成功の可能性が高まるでしょう。

まとめ

中小企業の中途採用は、即戦力獲得や外部の知見の導入など多くのメリットがある一方、知名度の低さや限られた予算といった課題もあります。

採用成功のためには、自社の魅力を具体的にアピールし、必要な人材像を明確化することが重要です。また、適切な採用手法の選択や転職エージェントの活用により、効率的に採用活動を進められます。

戦略的なアプローチで課題を克服し、自社にマッチした人材を獲得しましょう。