

2025.09.17 採用
質の高い面接のカギ!面接評価シートの作成方法と活用のコツ

企業にとって採用面接は、求職者のスキルや人柄を見極めるための重要なステップです。しかし、評価基準が曖昧だと、選考にばらつきが生じたり、入社後のミスマッチにつながったりする可能性があります。
このような課題を解決するのに役立つのが、面接評価シートです。
この記事では、面接評価シートを作成する目的、効果的なシートの作り方、活用のコツについて、採用担当者の方向けに詳しく解説します。面接評価シートを作成・改善する際に、ぜひ参考にしてください。
一貫した評価を実現!面接評価シートを作成する目的を解説

面接評価シートとは、採用面接の「評価項目」と「評価基準」を可視化してまとめたシートのことです。
面接評価シートを使用する一番の目的は、客観的で公平な評価を実現するためです。
多くの企業では、面接官が経験や勘に基づいて評価を下すことが少なくありません。しかし、これでは面接官の主観が強く反映されてしまい、評価にばらつきが生じる可能性があります。
例えば、ある面接官は「コミュニケーション能力」を重視する一方で、別の面接官は「専門知識」をより重要視するといったケースが考えられます。その結果、採用のミスマッチを起こし、早期退職や業務への悪影響などを起こしかねません。
さらに、透明性にも課題が生じます。評価基準があいまいだと、応募者に「なぜ不採用になったのか」を明確に説明できず、イメージダウンするリスクもあるでしょう。
面接評価シートを使用することで、評価項目や基準を事前に言語化し、面接官全員で共有できます。これにより、誰が担当しても一貫した評価が可能になり、公平な選考を実施できます。
また、必要な項目の聞き漏れを防止し、経験の浅い面接官であっても、スムーズに進行できる点もメリットです。
面接評価シートの作成手順とおすすめのフォーマット構成

面接評価シートは、単に項目を羅列するだけではその効果を最大限に発揮できません。
ここでは、効果的な面接評価シートを作成するために、評価項目・評価基準の決め方、おすすめの構成、職種別の作成ポイントについてご紹介します。
(1)評価項目・評価基準の決め方
まずは、自社が求める人物像を具体的に定義し、それを評価項目に落とし込む作業から始めます。面接官や管理職の意見だけではなく、配属先のキーパーソンやメンバーにもヒアリングすることで、より実態に即した評価項目を設定できます。
例えば、営業職であれば「コミュニケーション能力」「課題解決能力」「主体性」などが評価項目として挙げられます。
評価項目が決まったら、評価基準を設定します。「良い・普通・良くない」の3段階や「当てはまる・やや当てはまる・どちらともいえない・やや当てはまらない・当てはまらない」の5段階が一般的です。
コミュニケーションについて3段階で評価する場合、以下のようなイメージになります。
<良い>
・相手の意図を正確に汲み取り、論理的かつ明確に自分の意見を伝えられる。
・傾聴力が高く、スムーズな対話を主導できる。
<普通>
・一般的な会話は問題なく行える。
・質問に対して適切に回答できる。
<良くない>
・質問の意図を理解できず、回答が的外れになることがある。
・発言が少なく、会話が途切れがちになる。
このように、具体的な行動やスキルレベルを基準にすることで、面接官の主観を排除し、より客観的な評価が可能になります。
(2)おすすめのフォーマット構成
評価シートのフォーマットは、使いやすさが重要です。以下のような構成にすることで、面接官がスムーズに評価できるようになります。
<構成>
・基本情報
面接日・応募者氏名・応募職種・面接官の所属部署・面接官名
・評価項目と評価基準
各項目に対し、求めるスキルや行動特性を記載。その横に、5段階評価や3段階評価などのチェックボックスを設けます。その横に、各項目の評価基準を簡潔に記載しておきましょう。
・メモ欄
候補者の回答や面接中の印象を自由に書き込めるメモ欄は、選考時に評価の根拠を説明する際に役立ちます。
・総合評価と採用可否
各項目の評価を総合した最終的な評価を記載する箇所です。「採用」「保留」「不採用」といった採用可否の判断を明確に記入する欄を設けます。なぜその判断に至ったのか、理由や特記事項を具体的に記載することも重要です。
(3)職種別の作成ポイント
職種によって、求めるスキルや資質は異なります。そのため、職種ごとの特性を反映させた評価シートを作成することで、より精度の高い採用につながります。
・営業職
コミュニケーション能力・交渉力・課題解決能力・目標達成意欲などを項目に加えます。
・エンジニア
プログラミングスキル・論理的思考力・学習意欲・チームでの協調性などを項目に加えます。
・企画・マーケティング職
企画立案力・市場分析力・プレゼンテーション能力・創造性などを項目に加えます。
面接評価シートの効果的な運用とは?おすすめの方法5選

面接評価シートの効果を高めるために、以下のような点を意識しましょう。
(1)面接中のメモは具体的に書く
面接中は、候補者の発言内容や態度、表情などをメモ欄に具体的に記録しましょう。
例えば、「コミュニケーション能力」の項目に「良い」をつけた場合、「論理的で分かりやすい説明だった」など、なぜその評価に至ったのかという根拠を記録することが重要です。
面接後、時間が経つと記憶はあいまいになります。具体的なメモが残っていれば、他の面接官との評価をすり合わせる際に、説得力のある説明ができます。
(2)評価基準を面接官全員で共有する
面接評価シートを導入する前に、必ず面接官全員で評価基準のすり合わせを行いましょう。評価基準に対する認識にズレがないかを確認することが大切です。
同じ項目でも人によって解釈が異なることがあり、定義があいまいなままだと、面接官ごとに評価にばらつきが生じてしまうかもしれません。
例えば自主性の項目であれば「指示を待つのではなく、自ら考えて行動する力」のように、共通の認識を持つ機会を設けると良いでしょう。
(3)評価の合計点だけで判断しない
面接評価シートの各項目の合計点だけで、合否を判断するのは避けるべきです。なぜなら、個別の項目では測りきれない候補者の潜在能力や人柄があるからです。
各項目の点数を参考にしつつ、候補者と直接対話した面接官の印象や、メモ欄に書かれた内容も加味して総合的に判断することが重要です。
たとえ、面接評価シートの点数が低かったとしても、面接官が「経験は浅いが、将来性がある」と感じた場合、その直感も重視するべきです。
(4)面接評価シートを継続的に見直す
一度作成した面接評価シートは、定期的に見直すことが大切です。事業環境や組織の状況は常に変化します。それに応じて、求める人物像や評価すべき項目も変わっていくからです。
たとえば、新しい技術を導入するタイミングであれば、新しい技術に対する学習意欲や適応力を評価項目に追加するとよいでしょう。
面接後の会議で「この項目は評価しにくかった」「この項目は不要だった」といった意見が出たら、改善のヒントとして記録しておきましょう。PDCAサイクルを回すことで、面接評価シートをより効果的にブラッシュアップできます。
また、候補者の入社後、面接評価シートに記載された内容と実際の働きぶりを照らし合わせて振り返ることも重要です。面接評価シートと入社後の評価の間にズレがあった場合は、評価基準や質問内容を見直すことで、今後の採用活動の精度を高められます。
(5)面接官トレーニングを実施する
面接シートを作成するだけではなく、面接官トレーニングを実施することで、より効果的に活用できます。
特に重要なのが、ロールプレイングです。実際の面接での受け答えを練習することで、本番の面接で的確な進行・評価ができるようになります。
まとめ

面接評価シートは、企業の採用活動において、公平で客観的な評価を実現するための強力なツールです。しかし、単に導入するだけでは効果は限定的です。
この記事でご紹介したように、評価項目や基準を明確にしたうえで、職種に合わせた内容で作成し、面接官が適切に活用することが重要です。また、継続的に改善していくことで、より精度の高い採用を実現できます。
ぜひ、この機会に面接評価シートの作成・改善に取り組み、自社の採用力を高めていきましょう。