

2025.09.16 採用
採用面接の質を高める!面接官におすすめの質問例とNGな質問例

採用面接の質は、獲得できる人材の質に直結します。しかし、「どのような質問をすれば自社に本当にマッチする人材かを見極められるのか」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか?
この記事では、面接官の役割や具体的な質問例、そして避けるべきNGな質問例について解説します。
そもそも採用における面接官の役割とは?重要な2つの役割を解説

採用面接は、自社の採用活動の結果を左右する重要なプロセスです。採用面接における面接官の役割は、大きく二つあります。
(1)自社にふさわしい人材を見極める役割
面接官の最も重要な役割は、応募者が自社の文化や仕事内容に合っているか、その能力や人柄を正確に見抜くことです。
履歴書や職務経歴書といった書類だけでは、候補者の潜在能力や対人スキル、コミュニケーション能力といった多面的な要素を完全に把握することは困難です。
例えば、チームで協力して仕事を進める場面での協調性や、予期せぬトラブルに直面した際の対応力などは、応募書類からだけでは読み取れません。
質問への回答内容はもちろん、候補者の話し方や話を聞く姿勢、しぐさなどのふるまいから、入社後にスムーズになじみ、長期的にパフォーマンスを発揮できるかを判断します。
(2)自社の顔としてブランド力を高める役割
面接官は、自社の「顔」でもあります。多くの応募者にとって、面接官は応募先の企業で初めて接する人物です。面接官の態度や発言は、企業のイメージに直接影響し、応募者の入社意欲を大きく左右します。
面接官が誠実で丁寧な対応をすれば、応募者はその企業に対して良い印象を抱き、入社への期待が高まります。逆に、不適切な発言や無礼な態度があれば、企業のイメージは大きく損なわれ、採用したい人材が入社を辞退してしまう可能性が高まります。
また、面接でのやり取りを通して、自社で働くやりがいや環境の良さなど、魅力をアピールするのも重要な仕事です。
特に近年では、SNSの普及により、面接時の対応が瞬く間に拡散されるリスクも考慮しなければなりません。面接官の不用意な一言や態度が、企業の信頼性全体を揺るがす事態に発展する可能性も十分にあります。
面接官が自社の代表であるという意識を強く持ち、プロフェッショナルな対応を心がけることが、企業ブランドの価値向上につながります。その結果、優秀な応募者が多数集まり、採用活動がスムーズに進むようになるかもしれません。
面接官は必見!おすすめの質問例を紹介

面接の目的に合わせて適切な質問をすることで、効果的な面接を実施できます。ここでは、目的別におすすめの質問例を紹介します。
(1)アイスブレイク
例:本日は電車でいらっしゃいましたか?
面接開始時は、応募者が緊張しており、本音が引き出しにくい場面です。緊張をほぐすような質問をすることで、スムーズに面接が進みます。
特に、はい・いいえで答える質問からはじめ、少しずつ自由に回答するタイプの質問に移行すると、スムーズに話を展開できます。
(2)志望理由に関する質問
例:数ある企業の中で、なぜ当社を志望されたのですか?
応募者の考えや価値観を知るうえで、志望理由に関する質問は欠かせません。他社と比較する視点で聞くことで、自社のどこに魅力を感じたか、どのようなキャリア観を持っているのか、志望度などを把握でき、入社後のミスマッチを防げます。
(3)転職理由に関する質問
例:現在、転職を考えている理由は何ですか?
転職理由に関する質問も応募者の考えや価値観を知るうえで、重要な質問です。前職での不満点や、自社への転職で変えたい点を把握することで、入社後のミスマッチを防げます。特に、短期間での転職が多い場合は、少しの不満で離職してしまう人材でないか確認するために質問しましょう。
(4)経験やスキルに関する質問
例:これまでの職務経歴で、最も成果を出したエピソードを教えてください
候補者のスキルや業務遂行能力を評価するためには、単なる実績だけではなく、課題を乗り越えるプロセスを聞くと効果的です。具体的な取り組みを聞くことで、応募者の論理的思考力や課題解決能力、成果への意欲など、仕事をするうえで大切な要素を把握できます。
(5)リーダーシップに関する質問
例:メンバーのモチベーションを高めるために、どのような工夫をしましたか?
管理職候補やリーダーシップを必要とする職種の面接では、リーダーシップに関する質問をするようにしましょう。実際に行った工夫を聞くことで、チーム内でのコミュニケーション能力や、課題を解決する力を測ることができます。
(6)ストレス耐性を見極める質問
例:仕事で強いプレッシャーを感じた時、どのように乗り越えましたか?
医療職や営業職、販売員などストレスの多い職種や責任あるポジションの採用の場合、ストレス耐性の高さは非常に重要です。ストレス耐性が低いと、入社後にミスマッチを起こし早期退職してしまうかもしれません。
この質問を通して、応募者がどのように自分の心の状態を整えているのかを知ることができます。
(7)今後のキャリアプランに関する質問
例:5年後のご自身の姿をどのように描いていますか?
応募者の長期的なキャリアプランと、自社が目指す方向が一致しているかを確認するための質問です。面接時に確認しておくことで、キャリアへの不安・不満による離職のリスクを軽減できます。
明確なビジョンを持っている候補者は、入社後の成長意欲も高く、長期的に活躍できる可能性が高いでしょう。
(8)候補者からの質問
例:最後に何か質問はありますか?
面接の最後に聞くことで、候補者の入社意欲や関心度を測れます。質問の数だけでなく、その内容が具体的であるか、企業や仕事内容について深く調べているかがポイントです。
知らないと大きなトラブルになることも!NGな質問例を紹介

面接官は企業の顔です。コンプライアンスに抵触する質問や応募者に不快な思いをさせる質問は、絶対にしてはいけません。ここでは、NGな質問の代表的な例を紹介します。
(1)出身地や家族に関する質問
例:ご実家はどちらですか?
例:ご両親はどのようなお仕事をされているのですか?
出身地や家族のことは、個人の能力や仕事への適性とは無関係であり、採用選考の判断材料にすべきではありません。プライバシーの侵害にあたり、就職差別につながるリスクがあります。
応募者に不快感や不信感を与えるだけでなく、企業としてのコンプライアンス意識を疑われるので、応募者本人のキャリアやスキルに焦点を当てた質問をしましょう。
(2)思想信条に関する質問
例:信仰している宗教はなんですか?
例:支持政党はどこですか?
宗教や支持政党など、個人の思想信条は本来自由であるべきです。応募者のことを理解したいという意図であっても、本来選考とは関係のない事柄なので、質問しないようにしましょう。
意外なところでは、愛読書や尊敬する人物についての質問もNGです。
(3)結婚・出産に関する質問
例:結婚のご予定はありますか?
例:お子さんができても、仕事は続けるつもりですか?
結婚予定や出産後も働く意思があるかを質問するのは、男女雇用機会均等法の観点からNGです。
長期的に活躍できるかを確認したい場合は、「今後、長期的にどのようなキャリアを築きたいとお考えですか?」といったように、キャリアプランについて質問すると良いでしょう。
まとめ

面接官は、採用活動において極めて重要な役割を担っています。単に候補者のスキルや経験を評価するだけでなく、企業の「顔」としてブランド力を高める役割も果たすことを忘れてはなりません。
効果的な面接を実現するためには、アイスブレイクから始まり、志望動機、これまでの経験、ストレス耐性、将来のキャリアプランなど、多角的な質問を通じて、候補者の潜在能力や本質を深く探る必要があります。
一方で、出身地や家族、思想信条、結婚・出産など、個人の能力や仕事に関係のない不適切な質問は、絶対にしてはいけません。
事前に質問項目を準備しておき、面接の質を高めましょう。