

2025.11.17 採用
採用広報とは?採用担当者向けに具体的な手法や事例を解説

企業の採用活動において、求人掲載だけでは不十分な時代になってきています。母集団の形成や質の高い人材の確保に、課題を感じている採用担当者も多いのではないでしょうか。
そうした背景のなか注目されているのが、採用広報です。採用広報を行うことで、応募者数の増加やミスマッチのリスク軽減などの効果が期待できます。
この記事では、採用担当者向けに、採用広報の基礎知識から具体的な実践方法、成功事例まで詳しく解説します。
採用広報とはそもそも何?概要や目的や重要視される背景など詳しく解説

最初に、採用広報の概要や注目される背景について解説します。
(1)採用広報とは
企業が自社の情報や業界情報などを広く発信し、採用活動を支援する取り組みです。自社採用サイト・SNS・動画・採用イベントなどを活用し、求職者にメッセージを発信します。
従来の求人広告のように募集要項を掲載するだけでなく、企業の価値観や働く環境、社員の声などを多角的に伝えることで、求職者との接点を増やします。
採用広報の主な目的は、認知度向上・応募者の増加・ミスマッチの防止です。
(2)重要視される背景
採用広報が重要視される背景には、労働市場の変化があります。少子高齢化による労働人口の減少により、採用競争は激化しています。
単に給与や勤務条件が充実しているだけでは、求職者から選ばれるのは難しいでしょう。企業文化や働きがい、成長機会などの魅力もアピールする必要があります。
また、働き方改革やリモートワークの普及などに伴う、働き方の多様化も背景のひとつです。職場を選ぶ際に働き方や職場環境を重視する傾向が強まっており、従来の求人サイトの情報だけでは、求職者からすると不十分です。
採用広報を通じて、実際に社員がどのような働き方をしているか伝えることで、安心感を与えられます。
優秀な人材を確保できる!採用広報のメリット6選

採用広報を実施する主なメリットを6つ紹介します。
(1)認知拡大
採用広報を通して、自社の特徴や魅力を幅広い層に認知させることができます。いくら魅力的な企業であっても、求職者に知られていなければ、応募は来ません。
採用広報を行うことで、自社サイトの訪問者数やインターネットでの検索者数の増加が期待できるでしょう。
転職活動中の求職者だけではなく、これから転職する潜在層も含めてアプローチできるため、長期的に母集団を形成できます。
(2)応募者数の増加
継続的な情報発信によって認知度が高まり、応募者数の増加が期待できます。加えて、自社の価値観や魅力を伝えることで、共感した人材からの応募も見込めます。
(3)応募者の質向上
企業の魅力や特徴を事前に理解した上で応募してくる人材が増えるため、自社の価値観に共感する質の高い応募者を集めやすくなります。
特にニーズの高い職種や専門的なポジションにおいては、日頃から企業の魅力を発信することで、優秀な人材の目に留まりやすくなるでしょう。
(4)ミスマッチのリスク軽減
自社のリアルな環境や文化を積極的に発信することで、ミスマッチによる早期離職を防げます。
求職者は実際の働く環境や社員の様子を知った上で応募するため、入社後に「思っていたのと違う」というギャップが生じにくいためです。
(5)採用コストの削減
自社メディアやSNSでの発信は、有料の求人媒体と比べて低コストで実施できます。一度構築した情報発信の仕組みは継続的に活用できるため、長期的に見れば費用対効果が高くなります。
また、ミスマッチによる再採用や教育にかかるコストを防げる点もメリットです。
採用広報の手法にはどんなものがあるの?代表的な手法とは

効果的に採用広報を実施するには、手法の特徴を理解して、適切なものを選ぶことが大切です。代表的な手法について解説します。
(1)オウンドメディア
ホームページや採用ページ、ブログなど自社で運営するメディアを通じた情報発信は、採用広報の基盤となります。
特に採用サイトは、社員インタビューやプロジェクト事例、職場環境の紹介などを掲載することで、求職者に具体的な働くイメージを伝えられる重要なツールです。
自社でコントロールできるメディアであるため、伝えたい情報を正確に、タイミングよく発信できるのが強みです。
中長期的な戦略に適している一方、自社の認知度が低い場合は、求職者の流入が少ない傾向にあるため、他の手法で認知度を高める必要があります。
(2)SNS
TwitterやInstagram、Facebookなどを通じて、社内イベントの様子や社員の日常、企業の取り組みなどをタイムリーに発信する手法です。
双方向のコミュニケーションが可能なため、求職者からの質問に答えたり、コメントに反応したりすることで、親近感を持たせられます。
拡散力が強く潜在層にリーチしやすい反面、炎上リスクや継続的な運用コストが大きいといったデメリットがあります。
(3)動画コンテンツ
動画コンテンツは、社員の人柄や職場の雰囲気を映像と音でリアルに伝えられるため、共感を得やすいコンテンツです。
特に社員インタビューや社内イベントの動画は、求職者に強く訴求できます。また、SNSとの相性が良く、拡散による認知向上も期待できます。
デメリットとして、制作のスキルとコストがかかる、修正が難しいといった点があげられます。
(4)イベントやセミナー
オンラインやオフラインでの説明会や職場見学会などのイベントは、求職者と直接対話できる貴重な機会です。質疑応答の時間を設けることで、求職者の疑問や不安を解消し、より深い理解につながります。
ただし、企画・運営負担が大きい、参加人数が限られるといったデメリットもあります。
採用広報の成功パターンとは?他社事例をもとに解説

採用広報を成功させるためには、他社の事例から学ぶことが有効です。ここでは代表的な成功パターンを紹介します。
(1)社員の素顔を見せる施策
多くの企業で成果を上げているのが、社員の素顔を見せる施策です。
入社後のキャリアパスや実際の業務内容、ワークライフバランスの実態など、求職者が最も知りたい情報を社員の生の声で伝えることで、信頼性と共感につながるからです。
特にさまざまな職種や年次の社員を取り上げると、多様性を示し、幅広い層の求職者にアピールできます。単に仕事の話だけでなく、社員の人柄や価値観まで伝えると、より効果的です。
(2)企業文化とストーリーの発信
創業の経緯やビジョンの変遷、困難を乗り越えた経験など、企業の文化やストーリーを通して、求職者の感情に訴えかけられます。
特に成長過程での失敗談や試行錯誤のエピソードでは、企業の誠実さや向上する姿勢を示すことができ、求職者の共感を呼びます。
(3)技術力と専門性のアピール
技術力や専門性をアピールするためには、技術ブログの発信やカンファレンス登壇が効果的です。
特にエンジニアやスペシャリスト採用においては、企業の技術レベルや学習環境、挑戦的な取り組みを伝えることで、優秀な人材の関心を獲得できます。
(4)データに基づいた改善
成功している企業に共通するのは、データに基づいた改善を継続している点です。
アクセス解析やエンゲージメント率、応募経路の分析などを通じて、改善点や注力すべき取り組みを洗い出し、PDCAを繰り返すと効果的です。
まとめ

採用広報とは、企業の価値観や働く環境などを多角的に発信し、採用活動を支援する取り組みです。
労働人口の減少や働き方の多様化により採用競争が激化するなか、認知拡大、応募者数・質の向上、ミスマッチの防止といった観点から重要性が高まっています。
具体的な手法には、情報発信の基盤となるオウンドメディア、親近感と拡散力のあるSNS、リアルな雰囲気を伝える動画コンテンツなどがあります。
また、成功事例として、社員の素顔や企業文化・ストーリーの発信、技術力のアピール、データに基づいた継続的な改善があげられます。採用広報を効果的に実践し、優秀な人材の確保につなげましょう。